まずはインタビュイー、機械設計エンジニアのまめさんのご紹介です!
- 製造の現場でも花形と呼ばれる機械設計エンジニアとして活躍。
- その傍ら、いつも楽しいスペースを開催し、周囲を笑わせてくれる陽気なお方。まめさんのスペースが終わると「まめロス」に陥る人が出る。
- 今後も自分自身の成長のため、エネルギーをかけ続ける技術者の鑑のような人。


お越しいただき、ありがとうございます!本日は第二回インタビュー企画、機械設計エンジニアのまめさんにお越しいただきました!機械設計エンジニアの仕事について伺いつつ、まめさんを「丸裸」にしていこうと思います(笑)よろしくお願います!



よろしくお願います!
以下は記事の概要です。ぜひ最後までご覧ください!
- 機械設計エンジニアとは、機械の新商品開発が主な仕事。会社によるが、BtoBやBtoCで機械のアイディアを出して設計をしていく仕事。
- 四大力学(熱力学、機械力学、流体力学、材料力学)や、各種工学など幅広い分野の知識が必要になる職業。また、アイディアを出すのが仕事のため、一日全く仕事が進まない、なんてこともある。
- 必要なスキルとしては「論理的思考力」や今の会社の設備を考えて「作れるもの」を設計する想像力なども必要。
- やりがいとしては、0から自分で考えて設計したものが具現化されて、世に出ていくというのがうれしい、そこが機械設計エンジニアのやりがい。待遇面では、活躍するほど出ていかれると困る存在になるので、よくなっていく傾向にある。
- 難しい職業ではあるけど、常に新しいことに挑戦できるのがこの仕事の楽しさ。向いている人にはすごく魅力的な職業。
機械設計エンジニアとは


機械設計エンジニアとは
——初めにですね、機械設計エンジニアとはどのようなお仕事になるかを教えていただけますか?
一般的に、新商品の開発が主な業務です。その新商品を作るという作業を担うのが機械設計エンジニアですね。私の場合は機械製品を作って、それを商品として売るということをしています。企業によっては、製品を作るための機械(製造機械)を設計するところもあるでしょうし、業務形態によってもBtoBで企業とやり取りするところもあれば、BtoCでカスタマーさんと直接やり取りする企業もあると思います。
——まめさんの場合はどのようになる感じですか?
うちの場合は顧客のニーズを調査して、これは世の中にない製品で売れそうだなってところから、こういう機能が欲しいねってなって、設計に落とし込んでいって製品にして売り込むという形態です。
機械設計エンジニアになるきっかけと仕事の実際
——なるほど、では機械設計エンジニアになろうとしたきっかけは何だったんですか?
実は、機械設計エンジニアに最初からなろうとしていたわけではなくて、「常に新しいことをしたい」とか「新しいことに挑戦し続ける仕事がいいな」という思いがあって、結果、こういう職業に就いたって感じですね。
——やはり日々新しいことが起こっている職業だということですね?
そうですね、企業規模にもよりますが、私のところはいわゆる中小企業なので、特に機械設計エンジニアは「次の日これをやろう」という計画的な業務ではないです。行き当たりばったり感はあるんですけど、ルーチンワークがないということですね。
——なるほど、業務の中で「ここの仕様変えてみようか」とか同僚とか上司とかと話しながら設計を変えていくとかそんな感じですか?
何なら隣のデスクの人と世間話をしながらその製品の仕様が決まっていく感じですね(笑)仕事量を多くすれば成立するという仕事ではないので、進むときは一気に進む感じです。
——ということは進まないときは全く進まない?(笑)
そうなんです(笑)結局難しいんですよ、やっていることは。目の前が壁だらけで、ちょっと進んでは止まるんです。でも閃いたら一気に目の前の壁が無くなるというか、ドカーーンっていうか(笑)
——閃きを得るまでがつらいというか苦しいというかなんですね?
そうです、しかも、その人のセンスで閃くってわけでもないので。常日頃から、モノとかを見て、これにはこういう機能があって、それをこういう風に成立させてるんだなってアイディアを自分の中にストックしておいて、そういえばあの製品はこういう風になってたなというのを紐づけていって、課題を解決する、というイメージなんですよ。
——常に情報集というかアイディアをためておくことで、インスピレーションが降ってくるみたいな?
はい、だからいわゆる“勉強”って感じではないんです。常にアイディアを探して、常に何かについて興味をもっておかないとどっかで行き詰っちゃいますね。



クリエイティブな職業って、常日頃からアイディアをストックしておくことが大事なんだなって感じました。そこをできるエンジニアさんは強いということですね。
機械設計エンジニアのなり方や必要な力


まめさんのキャリアと機械設計エンジニアになるには
——まめさんご自身はどのようなキャリアを経て機械設計エンジニアになられたんですか?
高校は普通の高校で、大学は電子工学を専攻してて、技術者派遣という形で就職しました。最初は電気回路設計とか電気・電子関係の仕事を選んで主にやっていました。で、半導体製造にも関わったりしてたので、徐々に電気というよりも、ものづくりの方に興味がシフトしていった感じです。その後、地元に戻ったときに今の仕事場に就職したという形ですね。
結局、エンジニアって機械設計だけしかできないってわけじゃないんですよ、すべてを知ってなくてはいけないので。なので、大学はこういうところを出なくちゃいけないとかではないですね。
——なるほど、では「機械工学関係の学部を出なきゃ」とかはない?
まぁ、有利ではありますけどね。学歴とかも見られるので。ただ、学歴がいいからといって成立する職業ではなくて、そこにどれだけ情熱を注げるかにかかっています。
必要な資格やスキル
——資格についてですが、一応、民間資格で「機械設計技師」という資格などもありますが、必ずしも取得しなくてはいけないってものでもないんですか?
そうですね、資格としては特に必要ないと思ってます。というのも、技術者系で資格を取るというのは非常に難しいものばかりで。かつ、取ったからといっていうのもあります、ステータスとしてはよいかもしれませんが。必要なのは資格というよりも知識やスキルの部分なので。
——なるほど、では他にも3DのCAD(コンピュータで図面を描くソフトのこと)とかの操作にも慣れていかなくてはいけないんですよね?
いえ、実は私はあまり使えないんですよ。やれはするんですけど、3DのCADを専属でやる方がいるので、その人に比べたら全然できてないです。
——ということは機械設計エンジニアは設計のアイディア出しをして、3DのCADオペレーターさんに描いてもらうというイメージ?
そうです、企業の規模によってはアイディア出しから図面を描くところまで1人でやっちゃうところもあると思うんですけど、私の場合は本当にアイディア出しの方しかあまりやらないですね。「構想」、つまりどういう仕様にするかとか要件をどのようにするかを決めていくのがほとんどです。
——では必要なスキル・能力は何がありますか?
「論理的思考力」が必要ですね。ロジカルシンキングって言ったりもしますが、物事を体系的に整理して、道筋を立てて矛盾なく考えられることが必要ですね。人間ってあまりにも困難な場面に直面したとき、「こんなの無理でしょ」って頭をよぎるんですが、そうなるとアイディアも何も生まれてこなくなるので。こういう思考にならない、感情的にならないというところが必要な能力・スキルですね。
——知識としては他にどんな知識が必要ですか?
当然、力学の知識は必要になりますね。四大力学、つまり機械力学、熱力学、材料力学、流体力学の知識は大まかにすべて必要です。特に大企業に勤めた場合は、これら4つの中で自分の得意分野を見出しておかないとダメですね。「この分野についてはこの人に聞けば大丈夫」ってなっておかないと、エンジニアとして埋もれてしまいます。
今の設備で作れるものを考える想像力
——他にはありますか?
あとは、図面を描いたとき、自分の会社にある設備で作れるものを設計するっていうのも大切ですね。例えば、穴をあけるとか曲げるとか、今の設備でできるかな、無理かなとか考えつつ、外注するのか、別の方法をとるのか、とかそこまで見通して考えながらCAD引きますね。
——そこまで見通しながら設計していかなきゃいけないんですね!
なので、そういった意味では、機械設計エンジニアは商品を作るすべてを決めるので、形状や厚み、どういう工程で作るか、コストはどうなるとか、強度が足らないとかそういったこともすべて考えながら設計する必要があります。本当に地道なんです、作業としては。
——ということは、材料工学的な知識とかそういった部分も知識として必要になってくるんですね?
そうですね、それも必要になってきます。結局、発想の中で設計して図面描いても「そんなの現実的に考えて無理でしょ」っていう設計をしたら意味ないんですよ、製造の方に持っていっても「いや、どうやってやんの?」ってなってしまうので。



幅広い知識や経験、発想力などいろいろなスキルが求められる職業であることは間違いないですね。でも、それだからこそ挑戦してみる価値のある職業なんじゃないでしょうか。
機械設計エンジニアの待遇・やりがい


機械設計エンジニアの待遇・給与面について
——機械設計エンジニアの残業ってどれくらいありますか?
私の場合で言えば、月40時間くらいになっちゃいますね。仕事に「終わり」がないんですよ。かつ、その日に終わらせなきゃいけない仕事ではないんです、よほど追い込まれてない限り。なのである意味時間は自由なんですよ。アイディア出しとか構想が上手くいってれば、なんなら仕事しなくても大丈夫です(笑)
——(笑)でも逆に全く何も進まないことも?
それこそ一日全く何も進まないこととかもありますし、で、座っててもアレなんで、一日会社の中をグルグル歩き回って散歩してるときもあります(笑)
——はたから見たら「何やってんだ、この人?」ってなりますよね(笑)
でもそういう職業だなって思います。発想とかで仕事してる人は、はたから見たら「この人仕事してんのかな?」って見えると思います。
——では、給与面はどうですか?
会社内で重宝されればされるほど、給与も待遇もよくなっていく傾向はありますね。
——というのは?
よく言われるのは、その企業の持っている技術って、その技術者についちゃうんですよね。ノウハウとかを紙とかに書き留めたり、アウトプットするのって難しくて、だからその人が仕事をすればするほど技術がその人に蓄積していくので、その人材が抜けられたら困るとなります。
——なるほど、会社の製品を一手に引き受けて設計してますとなったら、辞められたら会社も傾くみたいな?
そうですそうです!その人が抜ける=ボコっとそこの技術が無くなるってことなので、例えば今までの製品を改良しようとしても、以前までできてたことができなくなって、改良になってない、なんてことになります。なので、重宝されればされるほど、待遇や給与は自然と上がっていくことになりますね。
——「行かないでぇ」ってヤツですね(笑)
はい、待遇とか給与面が不満で辞表なんか叩きつけられた日にはこっちがヤバイみたいな(笑)
——能力勝負の部分ではありますけど、待遇や給与の面では高くなる傾向があるということですね?
代えが効かなくなってきちゃうので、そうなっていくということです。手に職つけるって言いますけど、機械設計エンジニアもそうですね。
今までなかったものが実現できるのが機械設計エンジニアのやりがい
——機械設計エンジニアのやりがいはどこにありますか?
何もないところから、実際にモノが作られていく、自分の発想・アイディアから今まで世になかったものがゼロから作られるというのがやりがいですね。モノを作って、使ってもらって、多くの人に喜んでもらえる、これが機械設計エンジニアのやりがいだと思います。
——なるほど、実際に目の前に製品として実物が現れるのは感動ですよね!
やっぱりうれしいですよ。実際に自分の考えたものが目の前にモノとして、手に取ることができて、具現化できて、試験をパスして合格したときとか感動しますね、すべて考えた通りになった、とか。
——技術の世界って理論や計算通りにならないこともありますよね?
そうですね、机の上だけの計算だと合わないことが出てくるんです。結果、それが大きな問題になるときもあるって、これが難しいんだけど、それを解決するのもやりがいだと思います。問題が大きくなるほど燃えるタイプなので(笑)
——なるほど、壁はでかくて厚いほど燃える?(笑)
そうですね(笑)
機械設計エンジニアの大変さ
——では逆に、機械設計エンジニアの大変さはどこにありますか?
他の答えと被るんですけど、単純に難しいです。今までの会社の製品にちょっとした変更を加えるとなっても多くの工程が必要になります。どういう寸法にするのか、形状にするのか、それらをすべて押さえながら、地道にコツコツ解決していかなくてはいけないのでそこが大変ですね。ただ、それだけではなくて、壁にぶつかったときに「大胆に発想する」というのも大事で、そういったところの判断もしなきゃいけない。常に、自分の知識とか頭脳とか経験をフル活用しながら仕事してるので、エネルギーを消費しますし、疲れます。
——頭脳労働って大変だよなって思います。
本業してるときは、本当に別のこと考えられないんですよね。そこのタスクに全力で向かわないと全く進まないので、この仕事。それが楽しいっていうのもありますけどね。



実力次第で給与や待遇面はとても良いものになる職業だってことですね!これは夢のある職業なんじゃないかな。
機械設計エンジニアはオススメなのか


機械設計エンジニアはオススメの職業?
——機械設計エンジニアは他の人におすすめしますか?
いや、自分からはオススメしないですね(笑)すごく「向き不向き」がある仕事だと思うんです。はたから見たらすごい地味な仕事で、大概の部分は人目に触れない仕事ですし、難しい部分に挑戦したいって人はいいですけど、万人には勧められない仕事ですね。
——もし自分のお子さんが「機械設計エンジニアになりたい」って言ったら「おう、やってみな」って言いますか?
もし自分から「お父さんみたいな仕事したい」って言ってきたら「おう、やりなよ」って言うかもしれないですが、自分から「機械設計エンジニアなんてどう?」とは言わないですね、しんどすぎるので。
——なるほど。
与えられてやる仕事ではないので、自分から選んでやるってならないとたぶん無理だと思います。
機械設計エンジニアとして働いている自分
——今、機械設計エンジニアとして働いている自分に点数をつけるとすると何点になりますか?
30点。
——では何がプラスで30点という点数をつけましたか?
プラスって意味では、形になったもの、成功したものがあるのでそれについては加点できるかなって感じですね。
——では、残りの70点の伸びしろってどこにありますか?
結局、エンジニアってどこまで行っても勉強だし、終わりがないし、自分に100点つけたら終わりだと思ってるので。常にどん欲にストイックに自分を高めていくことを意識しないとダメだと思ってるんです。
——なるほど、本来であれば70点とか80点付けて、残り30点くらいが伸びしろです、って言ってもよいところを、伸びしろが70点というところからも、ストイックさ出てますね。
本当に知らない世界がたくさんあるので、それくらい伸びしろは持っておきたいなって思います。
機械設計エンジニアについてのインタビューまとめ
——すごく勉強になりました。機械設計エンジニアのお仕事を事前に調べていたのですが、やはり裾野って狭いんじゃないかって印象を受けたんですが。
そうですね、自分で自信をもって「機械設計エンジニアです」って言える人は多くはないと思いますね。私自身もそこまで到達できているとは思っていません。すごい人は本当にすごいですからね。
——すごい人ってどんな人なんですか?
情熱がすごいです。知り合いの設計者さんと一緒に出張行ったとき、電車の中でずっと上を見ているのでどうしたんですか、って聞いたら「これってこうなってんだな」って機械を観察してるんですよ。何ならその場でメモ取り出すし。あー、こうやっていかないとこの人には勝てないなって思いましたね。



機械設計エンジニアというお仕事、大変そうだなって思いましたが、逆にすごく魅力的なお仕事だなとも思いました。



そうですね、飽き性の自分が飽きずにこの仕事できているので、本当に楽しいんだと思います。
おまけ(質問コーナー)
——視聴者さんから質問コーナーです。今まで出して一番売れた製品は何ですか?
工業製品なので、みなさんの目に触れることはあまりないんですが、1個1個が大きめの製品で、1台300万~500万円するのを300台売ったことあります。
——300台!?
そうですね、さっき言った先輩と推し進めた仕事なんですけど、そんな単位の売り上げあげれました。
——続いて、「1日どのくらいパソコンの前にいますか?」ということですが。
私だったら、1日8時間勤務だとしたら7時間はいます。でも極端ですよ、今日は作業の日だなっていうときはこれくらいいますし、逆に今日はアイディア出しの日だなってなったら、全く座らないですね。世間話しながらの方がアイディア出るんですよね。
——最後ですが「長所と短所は何ですか」ということで、何か面接みたいになってますが(笑)
ほんとですね(笑)長所かぁ、これ表裏一体ですが「新しもの好き」なところが長所だと思います。例えば、「プログラミングすっごい楽しいんだよ」って言われて興味わいたら、そっちの方に行っちゃいますね。今の仕事投げ出しちゃっても。
——例えば、70ー30で配分するとかもできない?
あー、できないです、100ー0ですね(笑)で、短所の方は「飽きっぽい」というところですね、あぁ、こんなもんか、って思ったらもう違うことに興味が移っちゃう。常に新しいことに向かいたいというのはエンジニア向きかもしれないですね。



本当に今日はありがとうございました!きっと機械設計エンジニアさんについてこれだけ情熱をもってお話していただいた記事って他にないと思うので、本当にありがたいです!ぜひまめさんのスペースも聞いてみてください!



こちらこそ楽しくお話できました。そうかもしれないですね。企業サイトの記事って外向きの記事多いですからね。また、今後もよろしくお願いします!
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